8月に入れば、「お盆」はすぐそこ。
一年を通じてポピュラーな行事ですので、意識している方は多いと思います。
東京都など都市部は7月13〜15日。
全国的には8月13〜16日を指します。
沖縄は8月20〜22日と、地域によってばらつきがありますね。
スケジュール調整、帰省、お墓参り、親戚への手みやげをそろえるなどいろいろと忙しい期間ですね。
この時期になると「お盆に泳いではいけない」「お盆に川や海で遊んではいけない」などの言葉を耳にすることがありませんか?
この記事ではお盆の時期にしてはいけないこと、その理由を解説したいと思います。
お盆の時期にしてはいけないこと
結論から言います。
お盆の時期には以下のことをしてはいけないと言われています。
- 川や海で泳ぐこと
- 魚釣りなどでの殺生(せっしょう)
地域によっては、お祝い事や土いじりも避けるようです。
では、その理由を見ていきましょう。
「お盆」とは
「お盆」とは、祖先の霊を迎えて供養する仏教行事です。
正式には「盂蘭盆会」(うらぼんえ)。
古代サンスクリット語の「ullambana」(ウランバナ)の音を写したもの。
「ウランバナ」は「逆さ吊り」という意味です。
ちょっと物騒ですよね。
この言葉は、釈迦(しゃか)の十大弟子の一人目連(目健連)が餓鬼道(がきどう)に堕ちた母親を救った故事が起源になっています。
目連は「神通第一」(じんずうだいいち)とされ、目に見えないものを感知する力がありました。
そのため、餓鬼道で逆さ吊りにされ苦しんでいる母親を見てしまい、釈迦に相談。
釈迦の教えに従い、水・食物をお供えし、供養をして救うことになりました。
これが民間信仰と結びつき、夏に祖先の霊を迎える行事へと発展しました。
お盆にしてはいけないこと・その理由
仏教行事の最中ですから、殺生はもちろんNG。
お盆の時期に、精進料理を食べるのはこれが理由です。
厳格な仏教国では雨安吾(うあんご)の時期には虫を殺してはいけないと言われ、観光客が蚊に苦しんでも殺虫剤を渡さないほど。
地面にいる虫を踏まないために外出を控えるなど徹底しています。
現代の日本でも、引っ越しや土いじりを禁じる地域があるのは「動くこと、土を掘り返すことで虫を殺すから」かもしれません。
昆虫採集・魚釣りはもってのほかですね。
この時期に川や海で遊ぶことが禁じられています。
水辺には霊魂が集まりやすい、祖先の供養をせずに遊んでいると霊が足をひっぱると言い伝えられています。
これを鵜呑みにはできませんが、古いしきたりにはなにかと理由があるもの。
実はこの時期には水難事故が起きやすいと言われています。
理由は次の3つ
- 土用波
- 離岸流
- 鉄砲水
8月中旬は台風などの影響で普段より波が高くなり、非常に危険です。
「離岸流」は海岸の波打ち際から沖に向かってできる強い流れのこと。
波によって発生します。
巻き込まれると、逆らって泳ぐことは困難。
また、局地的な大雨が多い夏は、せきを切ったように流れる「鉄砲水」も発生しやすいことが知られています。
以上のことから、水辺には近づかない方がいいという「先人の知恵」ですね。
その他、海ではお盆の時期からクラゲが大量に発生するので危ない点も指摘されています。
お盆に避けるべきこと 破るとどうなる?
さて、ここまで読まれて「このしきたりを破ってしまったらどうなるの?」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。
お恥ずかしい話ですが、私の親族が経験済みなのでご紹介します。
「罰が当たった」といった抽象的な話ではありませんので、ご安心ください。
まず、親族A。
小さい頃、お盆の時期に海で泳いだところ、クラゲに刺され重体。
小学校の2学期をふいにしました。
次に、親族B。
周囲が止めるのも聞かず、お盆に海釣りへ出かけました。
結果、何も釣れませんでした。
周辺にいた年配者に「お盆に釣竿を持つとはなにごとか!」と怒られるおまけつきです。
そして、親族C。
離岸流に巻き込まれ、海でおぼれたことがあります。
近くを通りかかった漁師さんに助けられましたが、地方の新聞に報道され、1週間寝込む大惨事になりました。
「このあたりが危ない」と知っていても、急激な流れに足を取られるのはあっという間。
本当に危険ですから、皆さんは真似しないでくださいね。
「風習」「しきたり」には、したがった方がよさそうですね。
まとめ
お盆には水辺で遊んだり、海水浴をしたりするのは避けましょう。
また、魚や昆虫などもなるべく殺さないように気をつけて生活しましょう。
「風習」や「しきたり」は、古くからみんなが守ってきたもの。
意外と、合理的な理由があります。
素直な気持ちで守りましょう!