自然な甘味料として私たちの生活に定着した甘酒。
昔はお祭りなど年中行事で使われるイメージでしたが、今では一年中どこのスーパーマーケットでも見かけます。
「飲む点滴」といわれ、健康にいいとされていますが、具体的にメリットを説明できる人は少ないかもしれませんね。
この記事ではそんな甘酒について解説したいと思います。
甘酒とは
お米を炊き、かゆ状にしてこうじを加え発酵させ、でんぷんを糖化して作る日本特有の甘い飲み物です。
一夜酒(ひとよざけ)、なめ酒、こざけとも呼ばれ、ひな祭りや甘酒祭りなどの神事に使われます。
米のでんぷんをこうじのアミラーゼで分解し、マルトース・グルコースにするために甘味が出ます。
これらの糖の量は全体の30%にまで及ぶとか。
甘酒は製造方法によって2種類に分かれます。
- こうじを使うもの
- 酒粕を使うもの
『明鏡国語辞典』によれば酒粕を使った甘酒は代用品として扱われるようです。
こうじを使ったものは発酵食品で、栄養価が高くノンアルコールであるのに対し、酒粕を使ったものは栄養価が低く、微量のアルコールを含みます。
また、酒粕甘酒はメーカーによっては砂糖や寒天を加えていることも。
健康にいいとされているのは、こうじを使った甘酒であることは覚えておきたいですね。
甘酒の再評価のきっかけは?
甘酒ブームに一役買ったのは、小泉武夫さんではないでしょうか。
農学博士にして発酵学の権威。
発酵食品について、たくさんの書籍を世に出しています。
NHKの番組に出演されていたこともありますね。
私も小泉武夫さんの『発酵は錬金術である』や『発酵食品礼賛』を読みました。
読むと発酵食品が食べたくなる本です。(笑)
この中で、甘酒が絶賛されています。
甘酒が夏の季語であったこと、江戸時代には夏バテ対策として飲まれていたことなどはこの本で知りました。
甘酒の栄養素は?
小泉武夫さんと同じ東京農業大学の研究者 前橋健二さんによると、こうじで作られた甘酒の有効成分は350種類以上。
糖分の他にビタミンB1、B2、B6、ナイアシンなどが含まれています。
代謝や皮膚・粘膜の健康に欠かせない栄養素ですね。
また、お米からできているので食物繊維が豊富。
白砂糖はビタミンやミネラル、食物繊維がほとんど入っていないばかりか、代謝するときにビタミンB1やカルシウムを大量に消費します。
調理する際、白砂糖を甘酒に置き換えれば、豊富なビタミンB群が摂取でき、カルシウムを消費しません。
だからこそ甘酒は「からだにやさしい甘味料」とされているのですね。
甘酒は腸内環境を整える?
甘酒には腸内環境を整える効果が期待できます。
ヒトの腸内では善玉菌と悪玉菌がバランスをとって存在しています。
食事や薬、添加物、ストレスなどの要因で、均衡がシーソーのように変わるため、日々の食生活には工夫が必要です。
こうじで作られた甘酒を常飲すると、ラクトバシラス科の菌が増え、腸内環境の改善に役立つのだとか。
甘酒を常飲した方で「肌の色が明るくなった」「シミが薄くなった」とおっしゃる例がありますが、ビタミンB類の効果もさることながら腸内環境の改善が寄与している可能性がありますね。
おなかの健康のために、毎日少しずつでも摂取したいですね。
甘酒を簡単に取り入れる方法
現在、甘酒を使ったレシピ本は多数出版されています。
中にはコーヒーや紅茶に甘酒を入れて、砂糖の代替品にする提案もありました。
ですが、これはちょっと心理的なハードルが高いですよね。
嗜好飲料はストレートで飲みたい方がいらっしゃると思います。
私が一番、抵抗なく受け入れられたのは以下の使い方です。
- スムージーに入れる
- ヨーグルトに入れる
- 魚・肉の照り焼きに使う
これらの接種方法は甘酒特有の味や風味が気になりませんでした。
こうやって少しずつ、慣れていきましょう。
料理に砂糖を使っていた方が、甘酒を使い始めると最初は物足りない味になると思います。
好みによって量を加減していきましょう。
甘酒はメーカーによって大きく味が変わります。
何種類か試して、自分の味覚に合ったものを選びたいですね。
料理にだけ使ってみたいという方にはキャップつきのパックタイプがおすすめですよ。
まとめ
健康にいいとされる甘酒。
製造方法によって2種類に分けられます。
- こうじを使ったもの
- 酒粕を使ったもの
からだにやさしいといわれているのはこうじを使った甘酒です。
こうじ甘酒はビタミンB群や食物繊維が豊富で腸内環境を整えてくれます。
食卓に少しずつ取り入れていきましょう。