日中の最高気温が30度を下回ると過ごしやすくなりますね。
街路樹が少しずつ色づきはじめ、秋の訪れを感じさせます。
秋といえば「読書の秋」という言葉が頭に浮かびますね。
いったい、いつから使われている言葉なのでしょうか?
この記事では「読書の秋」の由来と、2023年秋に読みたいおすすめの本を紹介したいと思います。
「読書の秋」由来は中国の漢詩
この語の起源はとても古く、8世紀の中国。
韓愈(かんゆ)という詩人が書いた漢詩「符読書城南詩」に端を発しています。
韓愈は白居易と並び称せられる中唐の文人ですね。
「時秋積雨霽 新涼入郊墟 燈火稍可親 簡編可巻舒」
大意をまとめると
「長雨がやみ、晴れ渡る秋の空。
涼しい空気が郊外にひろがっている。
ようやく、灯をともして本を読むことができる。」
こんな感じです。
電灯がある現代とは異なり、夜には火を使って明かりをとっていた時代。
夏の暑い時期にはたしかにつらかったでしょうね。
この漢詩は広く親しまれていたようで、明治の文豪 夏目漱石の『三四郎』にも引用されています。
「そのうち与次郎の尻がおちついてきて、燈火親しむべしなどという漢語さえ借用してうれしがるようになった。」
夏目漱石『三四郎』
この作品は1908年の9月から12月にかけて朝日新聞で連載されていました。
当時のメディア状況を考えると、影響力は絶大ですね。
こうしたことから「秋=読書しやすい季節」というイメージが定着していったようです。
読書週間は10月27日から2週間
小学校や中学校では秋になると読書感想文を書かされましたね。
学校によってはこの期間に何冊読んだかを競うところもあるようです。
この行事は1947年から始まりました。
子供たちに良書を読む習慣をつけさせるために、アメリカの「Book Week」を模倣して作られたのが端緒です。
本家は11月16日から1週間ですが、やはり日本は「読書は秋のもの」という意識が強かったのでしょうか。
10月末から11月初旬、しかも1週間長くになっています。
2023年 読書の秋に読みたい本5冊!
この時期には公共の図書館で催し物があったり、書店でフェアが開かれたりしますね。
本のお祭りといってもいい様相を呈します。
この季節に、気になっていた本を手に取るのも文化的で粋ですよね。
ママが本を読んでいると、子供も真似をするのでおすすめです。(笑)
ここでは、最近出版された面白い本を5冊選びました。
夜が長くなる秋、就寝前のお供にどうぞ。
伊坂幸太郎『777トリプルセブン』
人気作家 伊坂幸太郎の「殺し屋」シリーズ最新刊。
不運な殺し屋が、またもやトラブルに巻き込まれます。
今回は東京の高級ホテルから出られなくなり…。
2年ぶりの書下ろし小説。
ファン待望の一冊だけに、読書メーターでもトップに来ていますね。
京極夏彦『鵼の碑』
京極夏彦「百鬼夜行」シリーズ17年ぶりの最新刊。
20年前に消えた三人の死体、周囲に何も言わず失踪した薬局の経営者、光る猿、光る石碑、殺人の記憶を持つメイド。
全ての謎が日光に集結!?
おなじみのキャラクターが活躍する、ミステリー長編です。
東野圭吾『あなたが誰かを殺した』
さすらいの刑事 加賀恭一郎が登場するミステリー。
連続殺人事件が起きた別荘地。
遺族は検証会を開き、なぜ愛する家族が殺害されたのかを議論しますが…。
読み始めたら止まらない、ノンストップサスペンス。
背筋『近畿地方のある場所について』
モキュメンタリーの体裁で語られる新感覚ホラー。
ネットの不思議な書き込み、女児の失踪事件、集団ヒステリー事件などの影に見え隠れする共通項は近畿地方のある一帯!?
果たして、そこには何があるのか?
日本ならではの湿度が感じられる作品です。
辻村深月『傲慢と善良』
消えた婚約者の行方を探るうちに、相手の過去と向き合うことになる男性。
進学、恋愛、婚活など人生のターニングポイントについて深く考えさせられる恋愛サスペンスです。
2022年の発売ながら、いまだに売れ続けている本で、Amazonでは「ギフトとしてよく送られている商品1位」。
「心に刺さる」と評判の一冊です。
秋は本を読み、内省するのに適した季節。
少し重たい小説にも手を伸ばしたいですね。
まとめ
「読書の秋」は中国唐代の文人 韓愈の漢詩から来ています。
その詩を明治の文豪 夏目漱石が引用するなどして世間に浸透していきました。
涼しくなり、物事に集中しやすい季節。
気になっていた本を手に取ってみませんか?