今ではすっかり日本に定着したお祭り「ハロウィン」。
ほんの20年前まではアメリカやヨーロッパの一部で行われる行事でしたが、今ではアジア圏でもクリスマスに匹敵する盛り上がりをみせています。
そもそも、「ハロウィン」はどんな行事なのでしょうか?
本をひもとくと「キリスト教由来」と書かれていたり、別の本では「ケルト人のお祭り」とされていたり。
Wikipediaを読んでもよくわからないと思った方は多いのではないでしょうか?
この記事では、そんなハロウィンについて解説したいと思います。
ハロウィン 名前の由来
キリスト教で11月1日は「万聖節」(ばんせいせつ)。
ありとあらゆる聖人を記念する祝日です。
カトリックでは「諸聖人の祝日」、プロテスタントでは「聖徒の日」と呼びます。
万聖節の前日をイギリスでは「Halloween」「Hallowe’en」と呼びました。
「聖人(ハロウ)のイブ」という意味でスコットランド語から来ています。
ハロウィン お祭りの起源
万聖節の前日は10月31日ですね。
この日は古代ケルト人にとって1年の終わり。
日本でいう大晦日に当たります。
そして「サウィン」というお祭りをして秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う日でもありました。
「サウィン」は夏の終わりという意味ですが、冬の到来に備える含みを持った言葉だった様子。
現代とは異なり、断熱材を用いた家屋や暖房器具のない古代では「冬」は「死」のイメージに直結します。
この日は死者が家族の元へ戻ってくると信じられていたのも、理解できますね。
大きな白いカブをくりぬき、ランタンにして火をともし、食物をそなえ、死者を供養しました。
アイルランド人がアメリカに移住してからは、現地で収穫されるカボチャに変わります。
今、私たちが目にする「ジャック・オー・ランタン」ですね。
キリスト教と古代ケルト信仰のかかわり
こうしてキリスト教と古代ケルトの信仰が結びつき、「ハロウィン」ができました。
キリスト教の布教は、マルモンテル著『インカ帝国の滅亡』のような狂信的なイメージがつきまといますが、ハロウィンの成り立ちをみていると意外におおらかな面が見てとれます。
これはアイルランドでキリスト教を布教した聖パトリックが苦労人であったため、現地の民間信仰に寛容だったという説があります。
世界宗教は、現地の信仰を取り込んで大きくなっていく性質があるのでめずらしいことではありません。
17世紀に入り、新教プロテスタントが隆盛するとハロウィンは影を潜めますが、1840年以降にアメリカで復活したのは面白いですね。
アイルランドで起きたジャガイモ飢饉により、アメリカに新天地を求めた人たちが先祖のお祭りを復活させたところはさすがに再生を信じるケルト人の末裔といえます。
現在のハロウィン
現在のハロウィンには宗教的な要素がほとんどありません。
そのため、キリスト教の宗派によっては厳格に否定する向きがあるほどです。
ですが、もともとアイルランドと親和性のある日本人には、起源を聞くと懐かしい気持ちにさせられますね。
調べていくとハロウィンは日本のお祭りとよく似ています。
「お月見どろぼう」「お彼岸」に「追儺(ついな)」「大晦日」を足して割ったような行事ですね。
アイルランドにゆかりのあるラフカディオ・ハーンが日本の文化や風俗に強い親近感を持ったのもうなずけます。
ちなみにラフカディオ・ハーンのファーストネームはパトリック。
アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックにあやかった名前です。
まとめ
ハロウィンは、名前はキリスト教の万聖節、中身はケルトのサウィンに起源を持つお祭りです。
秋の収穫を祝い、死者を供養する日とされていました。
今では宗教的な要素がほとんどありません。
遠くから長い時間を経て、日本に入ってきたハロウィン。
昨今、混雑や騒音、ゴミなどネガティブなことばかり話題になっています。
ルールを守り、気持ちよく楽しみたいですね。