スーパーマーケット、洋菓子店、レストランでも見かける「グルテンフリー」。
美容や健康増進目的で、小麦粉・ライ麦などグルテンを含む食品を除去する食習慣を指します。
パスタやうどん、ラーメン、パンなど小麦粉を使わない代替品が数多く販売されていますね。
お店で見かけた方も多いのではないでしょうか?
すっかり日本人の生活に浸透してきたグルテンフリーですが、ネガティブな説が存在します。
「グルテンフリーは日本人には意味がない」
サーチエンジンで「グルテンフリー」を調べようとすると、検索候補に上がってきますよね。
この記事ではグルテンフリーが本当に日本人には無意味なのかを考察したいと思います。
グルテンフリーが日本人に意味がないといわれる理由
グルテンフリーが日本人には無意味、という説の根拠は次のようなもの。
- 日本人にはセリアック病患者が少ない
- 日本人には小麦粉アレルギーが少ない
では、ひとつずつ見ていきましょう。
セリアック病とは、小麦粉に含まれるグルテンに対して免疫反応を起こす病気です。
「小児脂肪便症」や「グルテン過敏症」と呼ばれることもあります。
免疫反応が起きることで小腸からの栄養吸収が阻害され、身体に支障をきたします。
おもな症状は腹痛や下痢。
小麦アレルギーはその名の通り、小麦を摂取することで起きるアレルギー。
症状は広範囲にわたり、くしゃみ、鼻水、皮膚のかゆみ、呼吸困難などがあげられます。
日本では食物アレルギーの原因物質としては鶏卵、乳製品に次ぐ第3位となっていますね。
こうした症状は、急性であれば発見しやすいのですが、遅延性の場合は本人の自覚がないことが多く見受けられます。
日本人には確かにセリアック病の患者さんは少ないかもしれません。
ですが、小麦アレルギーに関しては気づいていない人を含めると多くの人が悩んでいる可能性があります。
実際、筆者が和菓子屋で働いていた時、「小麦アレルギーなので小麦粉を使っていない商品を」といわれる機会はよくありました。
グルテンフリーと日本人 本当に意味がない?小麦粉の問題点
戦後、大きく変わった日本人の食生活
そもそも、どうして日本人はこれほど小麦粉を摂取するようになったのでしょうか?
日本は古くから稲作を中心にしてきました。
主食はお米だったはずです。
日本人の食習慣が大きく変化した「原点」といわれているのが学校給食です。
鈴木猛夫『「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活』(藤原書店)を読むと戦後、アメリカの余剰小麦の消費先として日本に白羽の矢が立った経緯がわかります。
日本政府が、小麦粉を大量消費するために選んだのが学校給食。
アメリカ産の小麦粉を使ったパンと牛乳という、現在まで続く基本形ができ上ったわけです。
本来、食生活は風土と密接に結びついているものですが、日本人の食生活は「外圧」でゆがめられた過去があります。
これは日本人であれば覚えておいた方がいい歴史ですね。
本来、「健康にいい」食事は、は100年前から食べられている伝統食といわれています。
よく「まごわやさしい」で覚えますよね。
豆、ごま、海藻、野菜、魚、きのこ類とどれもお米に合うものばかり。
ですが、現代の日本人は明治・大正時代とは大きく異なる食事を強いられたのですね。
現在の小麦は品種改良の結果、グルテンが多い
また、小麦粉自体も、昔とは違います。
今、市販されているパンやパスタに使われている小麦は品種改良されたもの。
古代の小麦は現在ほど、グルテンを多く含んでいませんでした。
これについてはウィリアム・デイビス著『小麦は食べるな!』に詳細な記述があります。
興味のある方はぜひ、読んでみてください。
聖書など古い書物を読んでいると当時のパンがどんなものかがわかります。
ぼそぼそして、クズが落ちやすく、単純な形。
これはグルテンが少なく、現在の小麦粉ほど多様な形成ができなかったため。
輸入雑貨店でみかける「古代小麦」のお菓子を食べてみてください。
口当たりが少し悪く、割れやすいですよ。
、また、現在の小麦粉は中毒性が指摘されています。
パン、スナックを食べているといくらでも入るのはそのため。
肥満の原因になるという声があるほどです。
外国産小麦粉と国産小麦粉の違い
また、日本の気候は小麦を作るには不向き。
そのため、小麦粉の多くは輸入に頼っています。
スーパーのパン売り場を見ても、国産小麦を使ったパンは全体の1割以下でしょう。
輸入小麦粉はポストハーベスト(収穫後、防腐の目的で農薬を散布したり、放射線を照射したりすること)されています。
農薬だらけの食物を食べていれば、体調が悪くなって当然ですよね。
料理研究家の梅崎和子さんによると、小麦アレルギーだと思っていた人が国産小麦に切り替えただけで症状が緩和することがあるそうですよ。
まとめ
以上のことから、日本人でも小麦粉をなるべく摂取しない、「グルテンフリー」が健康や美容に役立つといえそうです。
事実、筆者の姉は10年ほどグルテンフリー生活を送っていますが、お肌の調子がよくなったとよろこんでいます。
気になっている方は、ゆるく始めてみてはいかがでしょうか?