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「新品よりも魅力的に」Artisansで解決する廃棄問題

Artisans<アルチザン>とは、フランス語で職人を意味する。ふじいたいきさんが、自身が運営するアップサイクル事業に、そう名付けたのは今年3月のことだ。職人芸の意義をArtに込め、不要なモノとモノ作りの職人をマッチングさせる。「アルチザンを通して、世界のアンフェアをなくしたい」という、彼の野望を聞いた。

包丁職人の方にインタビューをするArtisans代表のふじいたいきさん(左)

「カニバリズム」の壁

学生時代、フードロスをなくす活動をしていたふじいさんは、初めての壁にぶつかる。「カニバリズム」という挫折だった。廃棄されてしまう野菜を売る直売所を、活性化させるプロジェクトだったのにもかかわらず、その安さから人気が高まるにつれ、正規の値段で出している野菜が売れなくなったのだ。結果として、自社の商品に首を絞められる「カニバリズム」、つまり「共喰い」現象が起きてしまったという。

「廃棄が無くなるからといって、農家さんが幸せになるとは限らない。廃棄を循環させるときは、何か違う用途に変えてから流す必要があることに気付いたんです」

廃棄を右から左へ流すだけでは、根本解決に至らないと知り、辿り着いた先が、アップサイクルだった。「元の製品よりも、次元・価値の高いモノを生み出す事を最終目的とする」アップサイクルは、”被らない配慮”を持っている。そのアップサイクルの性質が、ふじいさんが葛藤していた「カニバリズムの壁」からの抜け道になった。

元々、自分でズボンの裾上げや、幅の調節などはやっていたという彼が、まずアップサイクルさせたのはレザー。廃棄されたレザーを使い、カードケースなどの革小物を作り始めた。友人からも好評だったため、販売してみたところ、予想を上回る反響だったという。その経験を元に、作り手たちを集め、リメイクの依頼と繫げるプラットフォームを誕生させた。

始まりはもったいない精神

「幼い頃から、とにかくもったいない精神が強かった。」というふじいさんが、異常なほどにモノが溢れている社会に違和感を抱いたのは、中学生の頃。当時から、廃棄されたタイヤから作られた財布や、軍服をリメイクした洋服に魅力を感じていた。
「ストーリーのあるモノに、自然と惹かれます。どんな人が使っていたんだろうとか、どんな時代だったんだろうとか、ロマンがありますよね」

高校生の時にフランスへ、大学生の時にベルギーへ留学したことも、彼の「モノを長く使いたい欲」に拍車をかけた。リサイクル優等生と言われているヨーロッパでは、廃棄に対する法律が日本とは大きく異なる。”End Of Waste”、つまり「一定の基準を満たしたものは、廃棄物から資源とする」概念が取り入れられ、有効利用の習慣が浸透しているのだ。廃棄に厳しい文化の中で生活した事は、日本でのその意識とのギャップに気付かされるきっかけとなった。

アップサイクルを武器に、世界のアンフェアをなくす

「命でも、モノでもこの世界にあるもの全てに、無駄になってほしくない。廃棄されてしまう運命のものに、新しい命を吹き込む事で、世の中のもったいないものを減らしたいんです」

そんな思いからスタートさせたアルチザンは、有名大学のコンテストとタイアップし、本選の衣装を手掛けるなど活動の場を着実に増やしている。

古着を野菜で染め直し、継ぎ接ぎして出来たドレス

廃棄されるウェットスーツから作られたジャケット

さらに、アップサイクルという概念を世間に注目させるべく、職人の技術を借りたプロジェクトも始動させた。線路に使われていた犬釘を、包丁にアップサイクルさせるという大胆な発想だ。

「釘を持ってきて、包丁に変えてください。という人がいるとは思っていません笑。ただ、どんな廃棄も捨てるのではなく、アップサイクルできるということを印象付けたかった。職人さんに依頼して、時間をかけて作ってもらうことも意図しました。作り手にフォーカスすることで、モノへの愛着度も増すと思います」

現在は、依頼された服のリメイクや、ワークショップイベントなどが主な活動だが、彼の将来像はより大きく、明確である。ファストファッションの普及により、急激に進んだ衣類の消費を中心に、受注生産型の社会を目指している。

「服は買うのではなく、”ある服で作る”が当たり前の世界を作りたい」

ヒトにも環境にも優しい消費システムを構築するため、彼の試行錯誤の日々は続く。

イベント情報

アルチザン初のポップアップが開催される。テーマは「脱構築」とし、家庭内のみならず、海・川・畑などあらゆる形のアップサイクル作品を展示。

日時:12月12日 12:00-17:00
場所:JOINT HARAJUKU
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目29−9 2F B1

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